ルートシックスイン

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東京は雨。12:20羽田発のJAL便は機材到着遅れで、結局、定刻の約1時間遅れの午後4時に那覇空港到着。レンタカーをピックアップして那覇から車で約一時間。途中で今夜のワインを手に入れて到着したころには、もう日はとっぷりと暮れていた。

その建物の玄関は海沿いの宿のネーミングにもなっている県道6号線から一本入った路地にあった。南カリフォルニアのサンディエゴあたりのファサードを感じるまぶしく高い白壁。パンチング・メタルのドアが開き、主人と奥様、そしてうれしそうにくるくると回る2匹の犬、奥から顔を出すもう一匹、レトリバーの老犬、そしてのっそりと太った一匹の猫が出迎えてくれた。

ルートシックスインの敷地に一歩入ると、夜のやわらかいとばりを感じて、時間の秒針の動きが少しだけゆっくりになったような気配がする。

一階の小さなバーカウンターがあるロビースペースで簡単なレセプショの後、2階の客室へ案内される。ユニットは2つ。階段をあがって左がダブルベッド・ルーム。右がツインベッド・ルーム。どちらもこだわりのウォーター・ベッドとジェットバスなどが完備。室内は華美ではない落ち着いた調度。タオル、リネン類やアメニティもいいもの選んで使っている。バリ島のアマヌサあたりのコテージに迷い込んだ錯覚だ。インテリアは奇をてらわないが、主のひとつひとつへアイテムのこだわりが伝わってくる。

 

広いベランダに出る。夜の海風が心地よい。

那覇空港から車で約一時間の読谷の夜はダークネスでサイレンスだ。

もしかしたらこの宿は世界中のリゾートを遊び尽くした大人が最後にいきつく、静寂な場所かもしれない、そんな気持ちになる。まるで、沖縄に秘密で借りてある隠れ家にでも帰ってきたような、おだやかな、ほっとした気持ちになれる。

 

ルートシックスインの正しい滞在の仕方は、季節によっても異なるだろうが、まず朝日が差しこむゴージャスなバスルームのブラインドを開けて、海を眺めながら、ジェットバスの浴槽で朝風呂を楽しむことから始めよう。Tシャツと短パンで過ごせる季節が一年のうち8か月はあるだろうから、そんなカジュアルな出で立ちで部屋でコーヒーを淹れて飲んだ後は、ドアの向こうで遊ぼうと呼びに来る犬たちとプールサイドで遊ぶのもよし。ベランダでなかなか読めなかった新聞や本を読んだり、音楽を聴いたりもいい。そして朝食がてらあたりをあちこち長い散歩や車で外出をしてブランチもいい。やちむんの里あたりをのんびりと焼き物を見てまわるのも悪くない。

夕方は早めに帰ってくること。実は着いた夜には気が付かなかったが、部屋には極上の屋上あったのだ。それを教えてくれたのが写真の犬のレオだ。レオが屋上への階段に案内してくれた。この屋上には海に向かって遊び心満載の石造りのカウンターテーブルまでしつらえてある。

海を正面に夕日は左手の残波岬に沈む。夕日が沈んだ後、空がオレンジからパープルに変わっていくマジックタイムが素晴らしい。このマジックタイムにこの屋上でよく冷えたイタリアの辛口の白ワインでも海風といっしょに飲もう。

もし大切な人といっしょの旅であれば、余計な言葉はいらない。

やがてこのルーフトップに星が瞬きだすまで、のんびりと佇もう。

都会の煩雑さを捨てて、ひとりでのんびりと大切な人生を想うのもよし。

たとえば、ちょっと仕事とか、恋愛とか、そんなことに疲れた人。ぶらりと旅に出てみたくなった人。

はしゃいだり、騒いだり、そんなことも卒業した大人で、ふたりの時間を静かに大切に過ごしたい人にもこの極上の時間と空間はおすすめだ。

一階は主人のご自宅。その自宅エリアにつながっている大きなガレージは大人の宝箱。よく手入れをされた1990年のポルシェ911が週に一度のドライブを待ちどうしそうに眠っている。ガレージの壁には映画「イージーライダー」のポスター。昔はハーレーをはじめとして大型バイクも乗りついできた、主人の稲葉さん、すこし「やんちゃ」だったのかな?その広いガレージの隅々に毛布を敷いて寝ている犬たちはどれも近所に捨てられていたり、動物病院からもらってきたりした犬たち。

みんな稲葉さんに出会って幸せを手に入れた。

 ルートシックスインは日本を、世界を旅して来た、大人のための隠れ家だ。この読谷の静かな夜を目を閉じて感じられるセンシティブな人だけに来てほしい。

きっと、この宿は一年後、二年後には沖縄でも最も予約が取りにくい宿のひとつになってしまうだろう。

その前にあなたがこの宿を訪れることができることを願ってやまない。